投稿日:2008-06-30 Mon
シドニー五輪柔道男子100キロ級金メダリスト、井上康生(29)=綜合警備保障=が2日、現役引退を表明した。北京五輪100キロ超級代表の最終選考会となった4月29日の全日本選手権(日本武道館)準々決勝で敗退。第一線を退くことを決意した。今後は語学留学などを経て、指導者としての帝王学を学ぶ。また、夫人でタレントの東原亜希(25)は全日本後、顔に軽い障害が起きていることをブログで告白した。 すがすがしい表情が心境を物語っていた。東京都港区の綜合警備保障本社で行われた会見には、約150人の報道陣が集まったが、スーツ姿の康生は緊張も見せず、穏やかな表情で25年間の柔道人生を振り返った。 「本日をもって第一線から退く決意をいたしました。5歳から始めて、柔道にすべての情熱を注いできました。わが柔道人生に悔いはなし、という気持ちです」 96年に17歳で全日本選手権に初出場して以来、日本柔道界の期待を一身に背負ってきた。99年6月に母・かず子さん(享年51)を亡くしたが、悲しみを乗り越え、同年10月の世界選手権で初出場V。シドニーでは100キロ級で金メダルを獲得、01年から全日本選手権で3連覇を達成するなど、無敵の強さを誇った。 しかし、04年アテネ五輪4回戦敗退で人生が急転した。100キロ超級に転向したが、05年1月の嘉納杯で右大胸筋断裂の大けが。同年6月には兄・将明さん(享年32)が急逝。07年9月の世界選手権では5位とかつての強さは潜め、北京切符には手が届かなかった。 1月に入籍した亜希さんとの挙式と披露宴を今秋に都内と宮崎県内で開いた後、早ければ来年1月にも語学学習と海外修行を兼ねた英国留学へ出発。約2年間の予定で、国際人としての基礎を学ぶ。尊敬するロサンゼルス五輪無差別級金メダリストで、東海大の先輩、山下泰裕氏(50)も引退後に英国留学。その恩師と同様、康生にも将来の柔道界を担う指導者としての期待がかかる。 第2の人生に踏み出す前には、最後の舞台も残されている。綜合警備保障の団体戦メンバー5人の一員として6月8日の全日本実業団体対抗大会(横浜文化体育館)に出場。15歳から住む第2の故郷・神奈川と所属先に恩返しをするつもりだ。 「今後は3つのことをやりたい。皆さまに愛される井上康生であり続けたい。妻と家族を幸せにしたい。柔道に恩返しし社会に貢献できる人間になりたい」。3大会連続の五輪出場は果たせなかったが、これまでの成績が色あせることはない。栄光と挫折を味わった現役生活を糧に、康生が新たな人生に踏み出していく。
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